2023年5月3日に深川で開催されたお化け縁日。ここには、妖怪をテーマにするたくさんの創作家さんたちが集まってまいります。
今回、ひな吉はこの縁日に初参加をして参りました。
妖怪画や研究レポート、同人誌、はたまたお面に加えて、ちょっとしたアクセサリーまで。商店街に並ぶ露店には、オリジナリティあふれる様々な妖怪作品で彩られておりました。
妖怪好きにはたまらない、非常に魅力あふれる空間でした。
さてさて、そんな創作家さんたちは、一体どんな思いをもって、妖怪をテーマとして作品を作っていらっしゃるのでしょうか?
訪れるお客様の対応にお忙しいにも関わらず、今回は大蛇堂(https://twitter.com/@orochidou)さんと蘭綾亭子梅(https://twitter.com/@ranryou)さんのお二人に、お話しをうかがうことができました。
古今東西の妖怪を掛け軸に 妖怪掛け軸専門店・大蛇堂さん
大蛇堂さんは、古今東西の妖怪をオリジナルイラストで掛け軸にしている方です。特に現居住地の山梨県と出身地の宮城県に力をいれていらっしゃるとのことで、縁日にはオリジナル妖怪掛け軸の他に、大蛇堂さんの絵による山梨県と宮城県の妖怪図録を販売されていらっしゃいました。
そんな大蛇堂さんに、どんなことを意識して、妖怪画を描かれているのかを、うかがってみました。
「過去に書かれたことがない妖怪は、描かないように意識している。」
大蛇堂さんは、伝承などをベースに、時代設定に合わせて妖怪の絵を描いているとのこと。その時代にはいないはずの妖怪は描かないし、画面上に登場する小道具なども、時代背景に合わせているそうです。
また、前時代に妖怪を描いた人からのインスパイアはあまり受けていないのだそう。確かに、大蛇堂さんの絵は、色彩豊かでオリジナリティあふれる妖怪画を描いていらっしゃいます。
妖怪の画像イメージは水木しげるによって固まった、世間一般に広がったという印象が色濃いです。要は、「一反木綿」と言われたら、水木キャラのあの「一反木綿」を想像してしまう感じです。
しかしながら、大蛇堂さんのように、水木とは異なる、オリジナルな妖怪画を生み出していらっしゃる作家さんが近年かなり増えているのではないでしょうか。ここに、ひな吉は(勝手に)画像妖怪の脱・水木化の流れができ始めているんじゃなかろうかとみています。
後世に残るような絵を描きたい 妖怪書画家・蘭陵亭子梅さん
蘭陵亭子梅さんは妖怪関連書籍の挿絵や御朱印原画など、各方面で精力的に活動していらっしゃる妖怪画家さんです。
水木しげるの妖怪図鑑を見て育ったという蘭陵亭子梅さん。
「水木の絵の元となるものはなんだろうか?そこに、日本人の心根があるんじゃないか」
そうした思いが、妖怪画を描くきっかけとなったそうです。
江戸時代や、さらに古い絵巻物などが好きで、語り継がれている妖怪よりも、絵に残された画像妖怪に特に惹かれるそうです。蘭陵亭子梅さんは、そうした妖怪画を踏襲した上で、自分の妖怪画を描かれています。
蘭陵亭子梅さんの興味の方向性は、あくまで前近代の人が書いた絵なのだそうで、新しい妖怪を生み出す、ということはあまりないのだそう。
「昔の人のメソッドで描きたい」
どうやら、これが蘭陵亭子梅さんの絵の根幹なようです。
いわゆる日本画というジャンルでくくられる、昔の人々が書いた平面的な絵は、今でも日本人の心をくすぐる、引力のようなものをもっています。
妖怪画には、とくにそういった何かが、宿っていそうです。
あとがき
こうして、お二人とお話をしているだけでも、妖怪作品を生み出す背景には、様々な思いがあり、各々が大切にしている信条があるのだと実感しました。
突撃取材というのもあって、十分にお話をすることができませんでしたが、とても興味深いお話を伺うことができました。
今後はもっと、「創作家さんたちにとっての、妖怪とは何なのか?」を追及できるようにしていきたいと思いました。
改めまして、取材に応じてくださった大蛇堂さん、蘭陵亭子梅さん、本当にありがとうございました!!
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